「クロコディル」のこと
料理は、愛情
ピアノの音が、一度出してしまったら、それはもうその空間のものになる様に、料理は、ダイレクトに、作った人のひと手間ひと手間が、食べる人の滋養となります。
温かいものは温かいうちに、そして顔を見てから調理する、というのもおもてなしの心ですね。
火や水や刃物を用いて、素材を驚くべきものに変えてしまうのですから、料理の力は偉大です。
郷土料理を食べることで、その地域の風土(内陸部なのか、海が近いのか等)、特産物、どこに近いのか、様々が浮き彫りにされます。その地域を知る上で、料理を食べてみることは、欠かすことの出来ない手がかりとなりますね!
さて、アルザスに行くことに決まった頃に、私は、地元の郡山でお気に入りのビストロのシェフに、アルザスで美味しいお店を訊ね、情報収集しました。
そのシェフは、フランスや英国で修行なさっていたので、鴨とフォワグラの市松仕立てなど、素晴らしいお料理のお話を、仕事中に何分も時間を割いて教えて下さり、「クロコディル」というお店をご紹介下さいました。
なんとミシュラン2つ星☆☆ ランチで奮発しました。これをパリで食べたら、もっと値段がいった筈。。さすがに写真は撮りませんでした。(後日談で、撮っても良かったそうで、更に、厨房を見せて頂くことも出来たのだそうです)
バターに、茶色い点があり、独特の風味を醸し出すので、なにが入っているのかを訊ねたら、魅惑的な眼差しの微笑みを研究中らしきアルザスの青年給仕さんは、
「no-riです。」
「(ええっ、)海苔!」
「Oui、サン・マロ産です。」
「サン・マロ産!」途端に、ドイツの国境にほど近いアルザス地方から、反対側のイギリス海峡に面したブルターニュの港町の海の景色が広がりました。
もちろん、バターだけでなく、食事が絶品だったのは言う間でも無く、ホスピタリティーも抜群。長旅の疲れを全て癒してくれました。
あの創意工夫の成せる技に、どれほど多くの仕込みの時間が費やされているのだろうか!
看板に掲げているワニの剥製は、昔、アケルマン大尉という方が、エジプトから持ち帰ったそうです。
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