マティアス・ゲルネの素晴らしいリサイタル!

11日は、バリトンのマティアス・ゲルネのリサイタルでした。(東京オペラシティコンサートホール/ピアノ:ピエール=ロラン・エマール)

ゲルネが声を発した瞬間から、ただならぬものを感じましたsign03.gif言葉には尽くせない、素晴らしい歌声。歌っているのだということさえ忘れてしまうような不思議な感覚です。

存在そのものが身体を筒として声を発しているかのような、深遠で包み込むような声でした。もう、なんと言ったら良いものかわかりませんが、私が近年に行った演奏会の中で一番最高でした。

シューマンが、クララと結婚した1840年。『歌の年』と言われている様に、シューマンはたて続けに歌曲ばかり作曲します。その年の作品、「女の愛と生涯」、「リーダークライス」が今日の演目でした。他には、ベルクの4つの歌曲もありました。

私は、聴いていて、涙が溢れて止まらず、こんなことは初めてでした。このまま死んでもいい…と思うくらいの幸せな感動で心が揺さぶられました。

風邪の予防のために着用したマスクは、涙でくしゃくしゃの顔を隠すのに役立った程です。

聴衆の最後の拍手からも、皆こころから感動しているのが伝わって来ましたし、絶大なる賛辞の拍手だった様に思います。

アンコールの最後は、「献呈」でした。シューマンがクララに結婚の贈り物として結婚式の前日に贈った曲ですね。

シューマンが最も幸せだった結婚の年である1840年の、シューマンの幸福と喜びが、このリサイタルを通して伝わって来る様で(クララの父に長いこと反対され、提訴までされ、勝訴したのも同年)、時空を超えて「おめでとう!シューマン。」と祝福したい気持ちにまでなりました。

…その後、シューマンは晩年になるにつれ、精神を病んでしまうのです。

我を忘れる程の驚きに満ちたこの演奏会は、本当に希有な、忘れられない体験です。

また後日、続きを書きます。そして、このブログの記念すべき100投稿目がこの素晴らしい演奏会のことであるのも晴れがましいです。

Filed under: リサイタル — 12:58 AM
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